移ろう景色
2020/11/11
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3時35分、朝刊を枕元へ、と、気づかれました、「ありがとね」祖母の一言。「うん、なるべく持ってくるよ」と返します。
5時50分、日の出はまだ先ですが、夜明け前の静けさが心地良い時間です。濃い雲が空一面を覆っていても、仄白く、朝はやって来ます。
窓を開けても、ひやりとした空気にまだ痛みは感じません。
気持ちが引き締まる程度の穏やかな風です。
7時は≪珈琲時間≫。
≪干し柿≫に薄皮がはって、少し小さくなりました。一日の様子で、≪干し柿≫の経過観察もなかなかに興味深いものです。
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外の気温は10℃、
≪薪ストーブ≫を焚くと25℃以上になります。
ほこっりとまったりと、隣で≪大活字本≫を読んでいた祖母がゆったりと目を瞑っています。暖かくて心地が良いので眠たくなるんだろうな、と思いそっと自らの作業中の音を消します。
暫くして隣に目をやると、いつの間にか今度は頭を抱えて≪数独≫を解いていました。話を聞くと、ある問題がどうしても解けないのだそうです。
集中力の回復が早すぎです。
瞬間、瞬間を一心に過ごしている祖母には敵いません。
母がひとこと、「裏道の桜、落ち葉の絨毯になってるよ、見てきたら」と教えてくれたので一瞬迷いましたが、祖母に付き添ってもらって見に行くことにしました。
春には満開になり、桜吹雪が≪花弁の刺繍≫のようになる季節も。≪落ち葉の絨毯≫になる秋の移ろいも。「どちらも絵になるね」と祖母と話しながら、感慨深く写しました。
近くを歩くと季節をもっと感じられますが、積極的な行動に移せないので、数々の素晴らしい瞬間を逃してきました。
綴ることをきっかけに、世界をもっと広げられればと思います。