雪の下、春の香 二滴
2023/03/06
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歩廊を兼ねた3畳ほどの空間に一人ずつの机を。肩を並べ、会話時々喧嘩、そして冗談を言い合いながら作業をし、いつも共に過ごしています。
春の便りは私が思っているより早く届きました。
祖母が「散歩がてら椎茸の様子見てくる」と言い、自家用車で早速出掛けました。今日も元気そうで何よりです。散歩にしては長らくの間、≪椎茸≫の様子を見てくるにしても時が経つので、少し心配になりかけていたら、祖母の自家用車の音が聞こえました。
ホッとしながら「椎茸たくさんあったの、」と聞くと「自家用車に摘んできたの取ってきて」と言われ玄関先を覗くと、明るい色味の春の知らせがそこに。
「蕗の薹も山にもうあったの、」「まだ山は採ってない、いつもの処や」と祖母の大切な場所から採ってきたみたいです。「椎茸も、もう生ってたの、」父が採ってきてくれてから日が経っていません。芽吹くのを待ち続けた≪自然の恵み≫の生命力には圧倒されます。
「採らんと、すぐ大きなる」と祖母は採ってきた≪椎茸≫を薪ストーブの前に並べます。≪干し椎茸≫にしたいみたいです。祖母も自身の料理のためでした。祖母の≪干し椎茸と昆布の佃煮≫は美味でご飯がおいしくいただけます。今から愉しみです。
一日中薪ストーブの最前列に並んでいた≪椎茸≫たちは旨味を凝縮した≪干し椎茸≫に成っていきます。天日干しが儘ならないこの季節に乾燥させるには、屋根の下の陽だまりの力を借ります。
祖母に「また採ってくるの、」と聞くと「まだ山裾のがあるから、気になる」と言ってくれました。これから続々と春という季節が我が家にやって来ます。≪自然の恵み≫とそれを享受できることに感謝して。春の香日和に、満ち足りた心気になりそうです。