閑に恬と、

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+-極矮小世界観点-+

-安閑恬静-

【統合失調症】のち【双極性障害】【パニック障害】の青人草の一端が家族に支えられ生きています。

話し相手は家族だけの小さな世界から、ぽたりと【ひとりごと】を。

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時には昔の頃に

2024/05/13


「持ってきたよ」と玄関先でひとこと、そしてすたすたと。母に「どうぞ」と中へ招かれます。手には贈るための花の鉢、そして「花だけやったらあれやし、これもどうぞ」と菓子箱を一緒に祖母へ手渡します。


叔父さんが【母の日】に合わせて【贈り物】を持ってきてくれました。突然の来訪に祖母は一瞬きょとん、と心の波が止みましたが、すぐ破顔して「おぉ、よう来た」と母親の顔になります。


年数を経ても祖母にとっては子供は子供、私に向ける笑顔とはまた違った笑みを溢します。市外に住んでいる叔父さんは祖母の三番目の息子で、よく祖母は「山の幸採れたから」「豆炊いたから」と招き、その都度叔父さんは気軽に我が家に来てくれる存在です。


暫しの間、父と祖母と叔父さんの親子の言葉のやり取りが続きます。祖母の声の明るさは、叔父さんに嬉しさを伝えます。最後に「また来てな」と手を振り、車が角を曲がると少し名残惜しそうに「行ったわ」と呟きます。


宅配便で【贈り物】が届きました。花と菓子箱です。今度は二番目の息子の東京の叔父さんです。これまた愛らしい花が籠に集まっています。「すごいね、色とりどりやね」と反応すると、花々の好みがぴたりと合った祖母は「2、3日は鑑賞し植え替えて下さい、やと」と花の【取扱説明書】を懸命に覗き込んでいました。


届いてすぐに、東京へ電話を掛けます。声を爛々とさせ「ありがとな、ありがとな」と繰り返し、感謝の言葉を渡します。叔父さんからは「祖母ちゃんも、元気でな」と言われても「ありがとう」感謝の言葉は途切れません。


恒例の【母の日】ですが、祖母にとっては毎年忘れ得ぬ日になっているのでしょう。叔父さんたちは【贈り物】で、祖母は元気な姿、嬉しい声でそれぞれ感謝の意を表します。


薔薇が美しく咲く頃は幾年経ても共に過ごした昔日の時を思い起こさせてくれるのです。




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