雪の下、春の香 七滴
2023/04/14
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歩廊を兼ねた3畳ほどの空間に一人ずつの机を。肩を並べ、会話時々喧嘩、そして冗談を言い合いながら作業をし、いつも共に過ごしています。
春の陽も山も少し霞んで見える日、祖母の春探しはまだまだ続いていました。この日は≪野ぜり≫と≪ヨモギ≫を届けてくれました。
春の七草の≪せり≫はここ数年居場所がなくなりつつあります。水に強く水田でも自生できる≪せり≫ですが、居心地の良い湿地帯が少なく群生しにくくなりました。それでも、きっと祖母のとっておきの場所があるのでしょう。今年は≪野ぜり≫の≪おひたし≫をいただけそうです。
前回祖母が大層な思いをして採ってきた≪野蕗≫は、≪伽羅蕗≫と称される≪野蕗の佃煮≫になりました。そして≪ヨモギ≫は牡丹餅になる予定です。祖母は大切な人たちにお福分けするためにここまで頑張っています。
「無理しないでね、」と毎回「おねがい」をします。祖母は「無理しとらん、明日雨になるから」と雨模様を気にしている様子でしたが、山の幸をいただけるのは本当に有り難いことですが、連日の動作に祖母の身体の方が気に掛かってしまいます。
ゆっくりと、ゆったりと、少しずつ。
山の恩恵をありのままをいただけることは、幸せで、意義深く。
日日のあつまりで出来た≪自然の恵み≫と祖母に感謝します。