乾燥への道
2023/03/02
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歩廊を兼ねた3畳ほどの空間に一人ずつの机を。肩を並べ、会話時々喧嘩、そして冗談を言い合いながら作業をし、いつも共に過ごしています。
2月初め、我が家の≪冬の風物詩≫でもある≪搗き立てかきもち≫干し作業が行われ≪干し棚≫をつくり、≪搗き立てかきもち≫を並べました。
ふた月ほど干し、じっくりと乾燥させ、≪搗き立てかきもち≫を焼くことのできる状態の≪生かきもち≫へと完成させます。最近では≪干し棚≫に並べて干し、乾燥させています。
干す作業は何十年も前から続けている祖母の楽しみのひとつです。高齢な祖母は、休みながらゆっくりと干す作業を進めていき、問題があれば私たちに「お願い」を、そして、時間をかけて≪干し棚≫を完成させました。
今年頼んだ3臼は、≪昆布≫≪打ち豆≫≪海老≫の3種類です。1臼で≪搗き立てかきもち≫は約150枚ありました。
そして、寒さをギュッと凝縮し、美味しくなるには、もう一つ作業が必要です。3月の今回は並べた≪搗き立てかきもち≫の裏返し作業です。2月にひと月かけて片面は乾燥させることができました。あとは裏返してもう片面を乾燥させます。
祖母に「おねがい」され、約450枚の≪搗き立てかきもち≫を裏返します。2月の初めの頃より、ひと回り縮小された≪半生かきもち≫を一枚ずつ返していきます。自然に乾燥された≪半生かきもち≫はひと月経って、しっかりと寒さを凝縮してくれていました。
4月初めには干し終わる予定ですが、干す作業の終了には、「お山の雪が融けたら完全に乾燥するんや」と祖母が言うように、我が家から見える山頂の雪が融けたら≪乾燥終了の合図≫だそうです。
≪生かきもち≫完成への道はまだ途中、山道半ばです。お山の雪の終わり、春の始まりまであとひと月、じっと並んで待ち続けます。