閑に恬と、

*
+-極矮小世界観点-+

-安閑恬静-

【統合失調症】のち【双極性障害】【パニック障害】の青人草の一端が家族に支えられ生きています。

話し相手は家族だけの小さな世界から、ぽたりと【ひとりごと】を。

*

深緋のしるし

2024/05/18


日が経つごとに季節が重なり交じり合う瞬間が濃くなってきました。それでも朝晩と日中の気温の振合いの高低差はどうすることも出来ません。【となりの畑】の大事な【こどもたち】が耐え忍ぶ様子を母は心苦しそうに見守ります。


無農薬・有機栽培で成り立つ【となりの畑】は益虫はもちろんのこと害虫も有りきなのですが、それより何より【狩師】の存在が【こどもたち】と母を脅かしています。


【狩師】は小型で縦横無尽に畑を飛び回れます。特に【こどもたち】と言うよりその根付いた土の中の【小さな生き物】を狙っているようです。有機栽培の特徴はその【小さな生き物】たちが豊かに住める状況を作り上げているのです。


それでも掘り返されては大変、と母も対策は兼ねているのですが、それこそ【いたちごっこ】で毎朝【となりの畑】を「こどもたちを、見てくる」と確認しに行っては夜行性の【狩師】の爪痕を見つけるのでした。


「どうすれば良いのだろう、」とその日の【珈琲時間】は【となりの畑対策本部】となっています。以前は祖母が管理していた畑ですが、その頃はそれ程【狩師】は活躍していなかったそうです。


母が受け継いだ後、徐々に近隣の畑にも囲いがされ、罠を仕掛けと強固な面持ちで皆挑んでいますが、【狩師】はあちらこちら狙いを定めては突撃してくるのでした。


それでも見守っている【こどもたち】の中の一種類【苺】が5月の初旬から採れ始め、美質は異なりますが、揃いも揃って艶々した満面の色です。


「今朝採ってきたから、どうぞ」とどこか誇らしげな母が、輝く摘みたての【苺】を皿にのせ、ことんと机に置きます。「おぉ」と家族から感嘆の声が、そして有り難く一粒いただく事に。酸味が強めですが【苺】独特の風合いがふわりと香ります。


この一粒一粒は【となりの畑】と母が根気強く育て、守り抜いたしるしです。




ブログランキング・にほんブログ村へ