天色、春の陣
2024/04/29
陽の目覚ましい力で萌黄も新緑の芽と息吹に揺らめき、幾日が経つと山の風貌は緑した枝や土の香も晩春季に近づいてきました。
今年は【筍】の生り年で【表年】と言われています。地域によって違いがあるのかもしれませんが、【表年】でも気が気ではありません。美食家狩師の存在が、我が家を脅かしています。
初めは4月中旬、山へ赴いた父と母によると「かちゃかちゃにしてあって、根も穿られている」とのことでした。今年は積雪量も少なく、鼻が利くので発見しやすかったと思われます。
美食家狩師はやわらかい【筍】を好んで食します。「その残りでも」と毎年願うのですが、今年もそれどころではないようです。広範囲を荒らされてしまって、何ひとつ見当たらないようでした。
その次に赴いた時には雨後で伸びきった【筍】に出合いました。【猪】は伸びた【筍】には見向きもしません。「それでも」と、我が家はその中から食せそうな【山の恵み】をいただきます。
と、ここでさすが【表年】です。次々と竹の力が発揮され地下茎から芽がどんどん生えてきました。それでも好ましい型はそうそうありません。「お福分けにするには」、と欲が出ます。
【深根】になれば味良い型の【筍】が採れるかもしれないと、淡い期待を掛けます。【深根】は、土の奥から根が出るので時季は少し遅れますが、その分やわらかな【筍】に出合えます。
山の恵みを巡り何かと難題に当たりますが、共存共生できる道を歩めればと祈ります。