裏庭、春清め
2023/04/12
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歩廊を兼ねた3畳ほどの空間に一人ずつの机を。肩を並べ、会話時々喧嘩、そして冗談を言い合いながら作業をし、いつも共に過ごしています。
春の陽と鮮やかな日日が続き、桜見を愉しみ、一片ひとひらの風に舞う姿もふわりと心気に残りました。雨模様が苔に、はらりと根付いた桜の花弁を留めます。束の間の桜の花弁ひとつひとつが苔の翠に映え、一片の旅はそこに落ち着きました。
そして雨模様から陽の日に入り、舞い盛った桜の花弁が地に降り根付いて数日、雨模様の間に春風が吹き込み散り散りと桜の花弁や細々とした葉、小枝などが裏庭を行き来したのでそろそろと、祖母は裏庭の清め作業に入りました。
竹箒で苔を撫で、桜の花弁の山を作っていきます。数か所に山場を拵えた後、最後の集め作業に掛かるところで「おねがい」され、祖母を支えます。箕を持ち桜の山場を清めます。苔の翠が軽くなったような気色です。
春の一連行事を終え、祖母も裏庭もすっきりとした風姿となりました。はらりとした風合いがなくなり少し静かになった苔を眺め、季節の移ろいを想います。
自らが行動し、この瞬間を忘れないために記します。
出来るときに、出来ることを出来るだけ。