閑に恬と、

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+-極矮小世界観点-+

-安閑恬静-

【統合失調症】のち【双極性障害】【パニック障害】の青人草の一端が家族に支えられ生きています。

心気穏やかに過ごすことを志し、ざっくりと【日日】や【想い】を綴ります。

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どんぐりの帽子


2020/12/04
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歩廊を兼ねた3畳ほどの空間に一人ずつの机を。肩を並べ、会話時々喧嘩、そして冗談を言い合いながら作業をし、いつも共に過ごしています。


今日は何か少し考え事をしているなと思っていると、「≪どんぐりの帽子≫あるかな、」と、思いついたように話します。


一旦、思考を停止しましたが、なるほど、と思い出し、「前に作ったどんぐりのブローチのことか、でももう時期が遅くない、」「今頃拾いに行ったんや」と祖母。


何年前の話か分かりませんが、祖母はそう断言しました。


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母に話すとついでがあるからと、近くの雑木林へ連れて行ってくれました。祖母も何年か前にここら辺で拾ったらしく、皆で足元を見渡します。


落ち葉がざくりざくり、ちらちらと赤や黄色の中にたまに現れる≪どんぐりの実≫。


「んー、どんぐりの実はあるけどね」「この殻、イガイガしとるしね」「それは違う種類のや」その後もしばらく探しましたが、見つかりませんでした。


「前はあったんやけどな」と祖母は残念そうでした。
ですが、「またいつか、違う場所を探そう、」と言い、めげません。


さすが、祖母です。



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≪どんぐりの帽子≫は≪殻斗(かくと)≫と呼ばれ、私たちが見たイガイガの≪殻斗≫は≪クヌギ≫などの殻のようで、祖母が求めているのは≪コナラ≫や≪アラカシ≫などの少し小さめのものでした。


今年は、見つかるか分かりませんが、また≪どんぐりの帽子≫でブローチが作れるよう、祖母の愉しみがひとつでも増えるよう。


私が出来ることを。



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