閑に恬と、

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+-極矮小世界観点-+

-安閑恬静-

【統合失調症】のち【双極性障害】【パニック障害】の青人草の一端が家族に支えられ生きています。

心気穏やかに過ごすことを志し、ざっくりと【日日】や【想い】を綴ります。

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長しえの、愛情


2020/11/26
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歩廊を兼ねた3畳ほどの空間に一人ずつの机を。肩を並べ、会話時々喧嘩、そして冗談を言い合いながら作業をし、いつも共に過ごしています。


最近では、≪マスク作り≫がひと段落したようです。
手作りしたマスクはお友達への贈り物になりました。



そしていつものように、≪大活字本≫を読んでいたかと思うと、いつの間にか、うとうとと机の前で目を瞑っていました。本を持ったままなので、その本が落ちないよう祈りながら、眠りを妨げないように、楽の音量を下げます。


それでも5分程度で目を開けてしまうので、いつも、疲れがとれているのか気がかりなのですが。今日は一段と祖母は精一杯だったので。


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午前中、晴れの日恒例の散歩へ出掛けたかと思うと、「今年、最後や、化けとるのもあるけど」と、≪原木なめこ≫を採ってきました。


「≪おばけなめこ≫だね」と私。「雨降ったし、もう少し早く見に行けたらよかったんやけど」少し残念そうに祖母はこぼしました。


「今日、贈るの、」「母さんに聞いてみないと」「≪おばけなめこ≫もおいしいから大丈夫やよ」「そうか」祖母はこの日のために少しずつ≪原木なめこ≫を観察し時には水をやり育ててきました。


東京への贈り物です。


母が来て「野菜も贈ろう」と切り出し、早速贈り物の準備を始めました。


東京には祖母の息子、つまり私の叔父さん家族がいます。この時世なかなか会うことが叶わなくなり、祖母は前にもまして常に東京の皆のことを気にかけています。


母が丹精込めて作った野菜を詰めて。祖母が育て採ってきた≪原木なめこ≫を載せ。重さは10kg近くになりました。


精一杯の気持ちを込めて、想いが届きますように。


高齢の祖母を叔父さん家族も気掛かりのようで、会えない分も込めて、≪誕生日≫や≪母の日≫≪敬老の日≫に贈り物を送ってくれます。


お互いに、想う強さは同じくらいですが、感染症が流行りだしてからは、祖母は気遣いながらも、会うことが叶わずとても淋しそうにしています。


せめて、何かを贈ることだけでも、と心を込めて≪原木なめこ≫を育ててきました。



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「今日、洗おうか?」と私。「面倒じゃないんか?」「大丈夫やよ、あとで呼んで」「わかった、お願いするわ」会話の後しばらくしてから、お風呂場から声がかかりました。


「相変わらず背中つるつるやね、シミもないし、」「背中は見えんわ、」「残念やねー」と言いながら、祖母の背中を洗い流します。


決して小さくはない、大きな大きな背中です。


毎日、毎日を一心に生き、想い、過ごしている祖母の愛情のように。



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